株式会社と合同会社の違い【機関設計編】

機関設計とは会社の意思決定や業務執行をする者をどのように設置するのか決める事です。何でも自由に設計できる訳ではなく、設置すべき機関が会社法に定められています。
この機関設計についても株式会社と合同会社は異なりますので、今回はその事についてご説明いたします。

機関設計

株式会社の場合

株式会社については機関の設置が会社法に定めされてますが、とにかくややこしいです。会社法を読み込むと気が遠くなりますので、表にまとめました。

非公開会社大会社株主総会・取締役・監査役・会計監査人
非公開会社大会社以外株主総会・取締役
公開会社大会社株主総会・取締役・取締役会・代表取締役・監査役・監査役会・会計監査人
公開会社大会社以外株主総会・取締役・取締役会・代表取締役・監査役
※公開会社・・・株式の譲渡に制限がついていない会社
※非公開会社・・・株式譲渡制限会社ともいい、会社の株式を株主が自由に売り買いできない制限がついている会社
※大会社とは・・・資本金として計上した額が5億円以上、または負債の部の合計額が200億円以上である会社

上記の表でのポイントは、すべての株式会社において「株主総会」と「取締役」は必ず設置するという事です。
また、上記の表以外にも設置できる任意機関があります。
【会計参与】
【監査等委員会設置会社(監査等委員会)】
【指名委員会等設置会社(指名委員会)(監査委員会)(報酬委員会)(執行役)(代表執行役)】
これらは大会社が、ガバナンスの観点から設置する事が多いです。

合同会社の場合

合同会社に設置義務のある機関というのは特にありませんが、【代表社員】【業務執行社員】【社員総会】を設置する事が可能です。これらを設置する場合は定款にその旨を記載します。

合同会社の場合は資本金を出資する人のことを社員と言い、全員に代表権と業務執行権があります。社員全員が株式会社で言う「代表取締役」のような存在です。
(注:合同会社では出資者を社員と呼び、出資者以外は従業員と呼びます)
しかしすべての社員が等しい権限を持っていると意思決定に時間がかかったり、混乱を招いたりする場合があります。
そこで【代表社員】【業務執行社員】【社員総会】を設置して会社の意思決定をスムーズにする事ができます。

【代表社員】・・・株式会社での代表取締役のような存在です。本来は社員全員にある決定権を代表し、会社に関する決定を行います。尚、代表社員は複数置くことも可能です。

【業務執行社員】・・・株式会社での取締役のような存在です。代表社員のもとで経営に関わったり、従業員が何かした時に責任を求められる立場になります。尚、業務執行社員も複数置くことが可能ですし、代表社員と兼務する事もできます。
この業務執行社員を設置した場合、他の社員については「経営にかかわらない出資者」という事になります。

社員総会】・・・社員総会を開催するのか、開催するとしたら何について社員総会で決議するのか等について、定款で自由に定めることができます。

まとめ

双方を比べてみると、合同会社の方が株式会社と比較して機関設計が分かりやすく、柔軟性が高いと言えます。

また株式会社での取締役の任期は2年(監査役は4年)、非公開会社の場合でも最長10年です。という事は、10年に1度は必ず役員の変更登記が必要になります。重任(再選)でも必ずです。
しかし合同会社の機関については任期はありません。つまり、合同会社の方が手間もお金(変更登記料)も省く事ができます。

前回の「設立費用編」でも今回の「機関設計編」でも、合同会社の方がメリットが多いように感じますが、次回は合同会社のデメリットも含めた記事を書く予定です。
最後までご覧くださりありがとうございました✨

弊所では定款作成や公証役場での定款認証手続代理を承っております。現在電子申請の準備を行っており、2024年5月より電子申請が可能となります。定款作成の際はまず面談をさせていただき、 会社を設立する動機や事業目的 、事業計画などお話しさせていただきます。その上で定款に盛り込む具体的事項についてしっかりとヒアリングし、遺漏なく定款を作成いたします。
どうぞお気軽にお問合せください。

投稿者プロフィール

鈴木 愛美
鈴木 愛美
さいたま市の気軽に頼れる秘書系行政書士です。
過去のメガバンク法人融資担当とベンチャー企業勤務での経験を活かし、行政書士として中小企業支援を目指しております。会社設立や各種許認可、契約書、補助金申請等をサポートいたします。融資相談も承っており、事業計画書も作成可能です!