会社設立時の資本金はいくら?

会社設立時には会社の様々な取り決めを定款に定めますが、資本金はいくらにするのかという事も重要な決定です。資本金の額は、会社の信用力や事業活動にも影響を与えるため、慎重に考える必要があります。そこで今回は資本金を決める際の考慮すべきポイントをいくつか挙げてみます。

法律上は資本金1円でも設立は可能

2006年に施行された会社法によって最低資本金の規定がなくなり、資本金が1円でも会社を設立できるようになりました。ちなみにそれまでは株式会社は1000万円、有限会社は300万円の資本金が必要でした。
しかし資本金が1円でも、会社設立にはその他にも費用がたくさんかかります。登録免許税だけでも、株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円かかります。(2024年4月の「株式会社と合同会社の違い【設立費用編】」というブログ記事で詳しい設立費用を記載しています)

資本金は信用力になる

前項で資本金が1円でも設立は可能と記載しましたが、実はあまり現実的ではありません。なぜならば、資本金は会社にどれだけお金があるかの指標になります。
資本金の額が大きいほど、会社が経済的に安定していると認識され、取引先や金融機関からの信頼も高まります。つまり1円では信用力に欠けるという事です。
また資本金は創業初期でまだ売り上げが少ない時のための、重要な運転資金です。資本金で初期の運営を賄える程度は準備しましょう。

資本金が許認可の要件となる業種もある

特定の業種では一定の資本金がないと許認可が受けられません。設立後に許認可を取得しようとした時に、資本金要件を満たしていなければ増資のために変更登記をしなければなりません。
会社設立時には予定している業種に関して資本金の規定がないか、必ず確認しておきましょう。
資本金要件となっている許認可についての例は下記の通りです。

有料職業紹介業 500万円以上(×事業所数)
労働者派遣業2,000万円以上(×事業所数)
貨物利用運送業 300万円以上
一般建設業500万円以上
特定建設業2,000万円以上
第1種旅行業3,000万円以上
第2種旅行業700万円以上
第3種旅行業300万円以上
地域限定旅行業100万円以上
第一種金融商品取引業5000万円以上

資本金は税金にも影響する

  • 資本金1,000万円未満なら、消費税が設立後2期間免除
    ※インボイス制度ができてからは創業時すぐに課税事業者となる企業がほとんどですので、あまり気にするポイントではなくなりました
  • 住民税均等割では資本金等の額※が1000万円超の場合均等割負担が年間10万円程度増える
    ※資本金等の額は資本金だけでなく資本準備金も含まれます

一例のみ載せていますが、他には3000万以上の話になってきますので資本金1000万以下の場合はそこまで気にする必要はないと思います。詳しくは税理士さんにご相談ください。

資本金の平均はどの位?

経済産業省の令和3年経済センサス‐活動調査 速報集計のデータhttps://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003449721&toukei=00200553&tstat=000001145590を見ると、多い順に以下のようになります。(割合10%以上のみ記載します)

300万~500万円未満約33%
1000万~3000万円未満約31%
500万~1000万円未満約14%
300万円未満約11%

業種によっても平均値は変わってきますが、300万~500万前後が平均値と思われます。

まとめ

これらのポイントを考慮し、状況に合わせて適切な資本金を設定することが重要です。尚資本金はあくまでも自己資金です。借入金は資本金には出来ません。足りない場合は株を発行して家族や親戚、ベンチャーキャピタル等からの出資を検討します。

弊所では会社設立の定款作成では資本金はもちろん内容について一緒に考えながら行っております。会社設立を検討されている方はぜひお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

鈴木 愛美
鈴木 愛美
さいたま市の気軽に頼れる秘書系行政書士です。
過去のメガバンク法人融資担当とベンチャー企業勤務での経験を活かし、行政書士として中小企業支援を目指しております。会社設立や各種許認可、契約書、補助金申請等をサポートいたします。融資相談も承っており、事業計画書も作成可能です!